Mazda CIFTE ECC82 (1)

昔フランスにRadiotechniqueというオランダフィリップス系の真空管製造会社があったのですが、それとは別にMazdaという会社も真空管を製造していました。

日本の自動車メーカーのマツダも海外では全く同じつづりのMazdaですが、もちろん無関係です。

Mazdaは1921に創立された電球会社で、電気部品や真空管も販売していたという以外にはあまり詳しい情報が英語で見つかりません。 実際に真空管製造もしていたようですが、他メーカー品のリブランド販売もしていたようです。真空管製造がすっかり終了してから1999年にフィリップスの傘下に入りますが、いまだにMazdaのブランドでビジネスをしています。

フランス語のWikiをたどって行くと、1938年のMazdaのカラーアニメ広告の動画がありました。70年以上も前の作品とは思えない出来でちょっとびっくりです。

フランスは1950年代から始まる冷戦時代に核シェルターにせっせと真空管などの軍需物資を運び込んで保管していたようで、ときおりそういった物資が放出されるのか、大量にフランス製の真空管が出回る事があります。

以前はMazda 6V6GTなどがあり、また最近取り扱っているMazda CIFTE ECC82もその例です。

1950〜1960年代製なのでアメリカ・ドイツ製ならプレミアがつくところですが、Mazdaというブランドにあまりなじみがないせいか、あまり高値がつきません。 作りは悪くはないのですが、不良率はとりたてて良いと言うほどでもありません。

このMazda CIFTE ECC82でいくつか面白い発見がありましたので、ちょっと次の雑記で書いてみようと思います。

Help! のEメール

もうすっかり9月ですね。 停電はすぐ復旧し、サンディエゴも涼しい日が増えてきました。

アメリカ国内のお客さんで、「緊急に今すぐ真空管が必要だ、助けて!」と言う方がいらっしゃいます。 Eメールの連絡だと、ビートルズの歌さながらに “Help!” というタイトルで来るのですぐわかります。

たいていはミュージシャンの方で、ツアー中に真空管の換えが必要になるケースです。アメリカの都市を幾つかまわるだけでもかなりの距離の移動になり、その間いろいろな不都合が起きてしまうようです。

ローディーや機材のリペアマンが同行するのはごくごく一部の大型ツアーだけなので、たいていはミュージシャン本人からの連絡です。せっぱ詰まって、次のステージに間に合うように送ってくれー!という悲壮なSOSのコールなのです。

金曜日は中西部のレコーディングスタジオからの大至急オーダーがありました。 機材に使う6922が月曜の昼の録音セッションまでにどうしても必要だとの事。 レコーディングスタジオは、場所と機材と人を提供して料金をもらう訳ですが、機材がまともに動いていないと料金がもらえないだけでなく、スタジオビジネスの評判にも関わってくるので、深刻です。

このスタジオから連絡があったのが金曜日の午後4時。エキスプレス発送の締め切りは午後5時。大至急で検品し、発送に持って行ってなんとか間に合いました。

こういった急ぎの注文は額も少ない事が多く、こちらから長距離電話をかけて確認したり、飛び入りが入った分さらに残業してもらったりと、コストがかさむので、利益はまずありません。

それでも急ぎのオーダーは受けて立つようにしています。これは私たちは真空管機材にこだわるミュージシャンの方々と同じスタンスだから、という理由です。

とは言っても、みなさんちゃんとスペアを持ってツアーしてくださればお互いこんなに焦らなくて済むのですが。

停電とお知らせ

みなさんご存知かと思いますが、昨日サンディエゴ周辺のメキシコ・アリゾナを含む地域で大規模な停電がありました。

クラウドへ移行したこのブログは平気でしたが、専用サーバーで運営しているBOI AudioWorksのメインサイトは数時間サイトを停止しました。その間はアクセスできなくなり、ご迷惑をおかけいたしました。

すでに電気は数時間前に復旧しました。何事も無かったような青空の金曜日ですが、もしかしたら流通に影響が出ているかもしれません。 いつもより国際郵便の配達が1、2日遅れる可能性があります事ご了承ください。

ところで停電したおかげでテレビどころか街灯もつかない暗い夜をロウソクで過ごしたのですが、これがなかなか良い雰囲気でした。 この暗闇の中、真空管アンプでしっとりとした音楽を聞けたらなぁ、と考えていたりしましたが、これはさすがに無理があるようです。

真空管3Dモデル

グーグルは検索だけでなくいろんな事をやっているのですが、Google 3D Warehouseと言って世界中の人が3次元グラフィックモデルを作って共有するサイトをやっています。

ここへいろんな人がいろいろな物を3次元CGで作ってアップロードするようになり、定番のスーパーカーとかはもちろん、家具からコンピューターだのカメラだのオーディオだの身の回りのものが3次元CGで作られています。

ハンバーガーとか検索すると、そこそこ美味しそうな3DCGが出てきます。

ここでも真空管を見かけるようになりました。 300B, EL34, 12AX7まであります。 このEL34もマウスでまわす事ができます。

でも感じは良くつかんでるとは言え、できはちょっとイマイチかもしれません。ギターやオーディオアンプを3DCGで作った時に真空管もCGで作ってみた、という感じなので、そこまで細かく作り込んでないようです。

しかし思うに、ソケットやラグ板の部品も3Dデータを作っている人もいますし、これなら3DCGで実体配線図も作れちゃいますね。 細かいところに寄って見たり、回していろいろな方向から観察したりできると便利そうです。

ただ問題は本物を作るより手間がかかりそうですが。

 

本日はアメリカの労働の日で、祝日です。 メールのご返事、またご注文発送は明日からになります。

なお、アメリカで大手の真空管商社さんがしばらく引っ越し中のため、入荷が滞っている商品があります。 かなり大変な引っ越しだったようですが、今週にはようやく落ち着いて商品を出荷し始めるようです。

ご存知かと思いますが、アメリカは晩春に学年が終わり、2、3ヶ月の夏休みの後、9月から新学年がはじまります。

子供さんが学校へ戻り、ようやく自分の時間ができたアメリカのお父さん達が、(お祖父さんたちも?)オーディオに灯を入れ、ギターを手に取るようになる時期です。 これは日本でも同じかと思います。

まだまだ暑さは残りますが、真空管の灯の季節はもうすぐそこです。 これからが楽しくも忙しい時期です。

インフラ整備とTL;DR

ようやく雑記を運営しているサーバーの整備が終わりました。 なので9月より雑記はクラウドからお送りしております。

最新IT技術を駆使してレトロな話題を世界に送る。というのはなかなかロマンがあると悦にいっております。

真空管通販のwww.boiaudioworks.comのメインサイトは雑記サイトとは全く別なのですが、こちらは別に幾つかコンテンツやフォーマットのアップグレードを予定しております。これから真空管の灯が恋しくなる季節に向けていろいろと楽しみです。

ところで、雑記を書く際に一番気をつけている事があります。 それは記事の長さです。 好きな話題だとつい長く書いてしまうのですが、読み手にとって無用に長い文は読みにくいものです。

これは英語でも一緒で、ブログやemailなどで延々と長い文章が続いていると読みにくいです。 英語は文字の密度が低く同じ情報を伝えるのに日本語の数倍の文字が必要なのです。 なので長い英語はホントに長いです。

ごく時々なのですが掲示板やブログのこういう長い文章に、読み手側から「TL;DR」というコメントがついていることがあります。 “Too long, didn’t read” 、「長すぎて読まなかったよ」の略です。

そういうのを見ると雑記も簡潔でかつ面白く続けていかないと、と思いますが、これがなかなか難しい物です。 雑記はクラウド移行したし、持続的に更新するペースが定まってきたので次はTL;DRなんて思われないような内容をこころがけていかないと。