円高

8月はどうせ暇だし今年の雑記の月間更新記録を作る!と意気込んでいたのですが、ドル安のおかげでかえって忙しくなっています。 それでも記録更新中です。

面白い事に今回のドル安は日本だけでなく、ユーロ通貨圏やスイスなど為替レートが有利な地域から注文や問い合わせが増えています。 インターネットを通してビジネスをしていると世界経済が実感できてしまうのです。

どういう事かというと新聞の経済面に載るような米国債の格付けがなんたら、と雲をつかむような遠い世界の出来事があります。 これが株の乱高下になり、まわり回って為替レートに反映し、それで個人輸入される真空管の注文が上下するのです。

「風が吹いて桶屋が儲かる」ってほんっとに起きるんだねぇ、といたく感心してしまいます。 本来はビジネスチャンス到来!のこの状況で呑気な事言っててはいけないのかもしれません。が、どうやら私どもはちょっと商人感覚に乏しいようです。

とはあれ、この円高です。 真空管やパーツを個人輸入される方はこのチャンスを活かさない手はありません。 まとまった額の商品を今、ここのタイミングで購入したい、という方も多いと思います。 このタイミングですが、当店はご注文の商品の在庫を切らしている場合、月に数回ある入荷をお待ちいただいてからカードの決済をしています。

これはお客さんの注文の品が揃ってから決済するようにしているのですが、これだと逆に在庫が無いと円高のウマいタイミングを逃してしまう可能性があります。 なのでご希望なら在庫を切らしていてもとりあえずカード決済をすます事もできます。入荷待ちでもいから今このタイミングで決済しちゃって!とご希望でしたらご注文の際、コメント欄もしくはEメールにてお知らせください。

真空管交換 3つのポイント

真空管を交換するのは簡単です。アンプによってはけっこう出音が変わるので違う真空管に交換してみるのは楽しいものです。

今回は交換にあたってのポイントをまとめてみました。

正しい真空管と交換する

真空管は違う型番でも使えちゃう事が多いのですが、ケースバイケースなので知識が必要です。 逆に同じ系統でも、例えば6L6系の真空管は改良型が多く型番はそっくりなのに小は大を兼ねない場合もあります。

真空管の型番はアンプのマニュアルに従うか、アンプにすでに装着されている真空管と同じ型番の真空管を注文する。それでも?な時は、真空管オタクがいそうな販売店(当店の事です)に確認すると確実です。

真空管の交換は冷えてから優しく

真空管はとても熱くなるのでじゅうぶん冷えてから抜くようにします。 火傷防止だけでなく、熱い真空管をテーブルの表面などに置くと温度差で割れてしまうからです。

またオクタルベースのパワー管は、少しずつ引き抜くようにします。 前後左右に大きく傾けながら抜くとベースのガイドピンを折ってしまいます。 真空管は十分に冷えてからゆっくり抜くようにしてください。

パワー管交換後は見て確認する

パワー管を換え必要に応じてバイアス調整をしたあとしばらくは通電して真空管が赤熱しない事を確認します。

なんらかの理由で真空管がまともに動作していない場合、過熱してしまう事があります。過熱すると他の部品も痛めてしまいますのではじめはこれが無い事を見張るのです。 しばらくおいてほんわりとフィラメントの光がこぼれてる状態のままならばっちりです。

以上、できるだけ簡単にまとめてみましたが、質問やコメントがあればいつでもご連絡ください。

なおパワー管ではガラスに青色の蛍光色が出る事がありますがこの有無は良否と無関係です。この蛍光は個体により強くでたり出なかったりしますがその真空管の個性だと思ってあげてください。

聴覚検査

聴覚検査サンプル

知り合いのレコーディングエンジニアが言っていたのですが、人間左右の聴覚には意外と差があるものだそうです。

生まれつきの違いもあるかもしれないけど、大音量を聴き続けると聴覚にはかならず影響がでるものです。

大音量にさらされ続けて難聴になったミュージシャンというのはけっこういます。 また普通の人でもヘッドホンで大音量を聴くのは良く見かけます。

日常生活でも知らないうちに大音量にさらされているものです。 かのレコーディングエンジニアは高速で車の窓を開けて運転を重ねると左耳(アメリカは左ハンドル)の聴覚に影響がでると言って車の窓は開けません。

私のようなふつうの人間はそこまで神経質になる必要はないかと思いますが、オーディオを楽しむには自分の聴覚もサウンドシステムの一部なので、大切にするべきと思います。

聴覚は変化がわかりにくいもののようで、客観的に判定するには聴覚検査が必要です。 本格的には耳鼻科に行かないとならないようですが、簡易検査用のiPhoneアプリを見つけました。

簡易だけあってヘッドホンの特性や周囲の騒音レベルなどにかなり左右され、計る度にかなり違いますのであまり精度は無さそうです。 でもやってみるとなかなか興味深いです。

コンデンサーによる音の違い

コンデンサーは使われている誘電体や構造によって、特性が違います。 このコンデンサーの特性というのは曲者で、誘電体や構造のせいで寄生インダクタンスによる周波数特性、等価直列抵抗(ESR)に違いがあり、同じキャパシタンスのコンデンサーでもタイプによって回路の動作がちょっぴりですが変わってきます。 また掛かる電圧による容量の変化という非線形特性があり、これも使われている誘電体によって違います。

まぁ、難しい事はおいといて、コンデンサーにはもろもろの非線形な特性があり、タイプが違えば特性の違いが音にでると言う事です。

その違いを録音しようと思っても結構難しい物ですがこれをギターでやってみている人がいました。 エレキギターは磁石に細い電線を巻いたピックアップが弦の振動を拾って電気信号にしています。 この信号がボリュームとトーン回路を通してジャックに出てきます。 このギター内部の信号経路に使われているコンデンサーを換えて比較しています。

で、聴いてみるとまぁ音の違いが出ているようです。 まぁ、ギターは弾き方次第で相当音が変わりますし、コンデンサーのキャパシタンスを計っていないので、特に古い部品の経年変化などによる容量の差もあるかとは思います。 なので、参考程度に違いがわかるか聴いてみるのは面白いかもしれません。

12AX7VKA

Voskhod 12AX7VKA

ヴォスコード 12AX7VKA

あまり知られていない真空管工場でロシアのVoskhod工場があります。 ロシア語表記はВосход。

ロシア語の正確な発音は、えーっと、実はわかりません。

なので英語読みでヴォスコードとかヴォスコッドと呼んでいます。この言葉は陽や星が昇ると言う意
味だそうで、旧ソ連の宇宙計画にもつけられていた名前です。ロゴはロケットです。

このVoskhod工場製でポピュラーな真空管に6N23Pがあります。特性は6DJ8・6922と同等で差し替えできます。 欧米のお客さんで、「Voskhodのロケットロゴ」とわざわざ指定して購入される方がけっこういるぐらいで、特定のオーディオ用途にはファンがかなり多くポピュラーです。

このVoskhod工場が少し前から12AX7VKAという番号で12AX7の互換品を製造販売しはじめました。 外見的にはほんのちょっとですがガラス管が太くずんぐりしています。 音もギターアンプでは中低域が豊かになります。 オーディオアンプでもなかなか良い感じです。 スペアナで観ると平均的にちょっと1/f雑音が多いかな、と言う感じで、しばらくバーン・インして雑音レベルが下がるかみている状態です。

特記すべきは驚くほどマイクロフォニックス雑音が少ないのです。 内部構造をかなりコンパクトに作ってあるのもさる事ながら、ガラス壁も厚くしてあるようで、これがかなり効いているようです。 機械構造には共振は必ずあるもので、真空管の場合聞こえる周波数で共振しやすいピーク(高Q)があるとマイクロフォニックが引き起こすフィードバックの原因となります。

Voskhod 12AX7 and Gold Lion 12AX7

Genalex 12AX7と比較

12AX7VKAは動作中に出力をスペアナで観ながらあちこち叩いてみたり、音源を押しあててスィープさせてみても共振周波数が見つかりません。 これは大した物です。

2枚目の写真はゴールド・ライオンの12AX7と並べてみた物です。内部構造の小ささ、そして上下のマイカに何本もロッドを使っているのが見えます。

見た目はあまりわかりませんがやはりガラス管が明らかにちょっと太いので、もしかすると細身のシールドには入らないかも知れません。 バーン・インが終わり、いろいろ性格が把握できた時点でサイトに出す予定です。

フィラメントの明るさ

6L6GCのような真空管は捩られたフィラメントが絶縁スリーブの中に入れられています。なので通常は外からフィラメントが見えません。
6L6GC Filament

でも手作業で組み立てられる真空管は製造上のばらつきでフィラメントがスリーブの端からちょっとのぞいている事がまれにあります。もちろん動作には問題ありませんが、はみ出た部分のフィラメントは本来の役目のカソードの加熱をしないので無駄な部分です。

写真は6L6GCで、フィラメントが3ミリほどのぞいています。 二つあるように見えますが右側は放熱フィンに写った反射像です。

ナス管や特にトリウムタングステンをフィラメントに使った真空管はフィラメントが光って明るくなかなか雰囲気が良い物です。 これが普通のGT管やMT管は見えないのが普通ですが、フィラメント本体は写真のようにかなり明るいので、私たちも実はこの方が好みだったりします。

フィラメントがのぞいている真空管だけでペアを組んでみたらけっこう明るくていいかもしれないですね。でもこのように光る真空管はあまり無いので、気長に待たないといけないようですが。