Tweeting Key

このブログも最近すっかり動画紹介ブログと化している感があります。

実は動画はYouTubeやVimeoに行ってキーワードで探せば出てくるので、検索で真っ先にでてくるものをわざわざ紹介するのはあまりオリジナリティーの無い話です。 ただ、アップロードされたばかりの動画や、ニッチすぎる話題はビューカウントが低いので、検索してもあまり出てこないものです、そういうもので面白いものを見つけたら取り上げるようにしています。

先日のKR Audioの動画もアップロードされたばかりで検索にはまだ出てこないうちに見つけたので紹介しましたが、今回も数日前にアップロードされた面白い物を見つけました。

インターネットに直結してツィートできるモールスキーです。 中身はネットワークインターフェース付きのArduinoですが、キーから全部コントロールできるようになっているのがニクいですね。

これで真空管が使われていたら完璧ですが、BOI AudioWorksのお客さんにはアマチュア無線愛好家も多いようですので、なかなか面白いのでは無いでしょうか。

ちなみに、BOI AudioWorksが在庫保管用に使っている倉庫を選んだとき、わざわざ73番を選んだりしています。

それでは73 (88?) ES CUL

 

真空管工場機材

Groove Tubesは真空管好きのアスペン・ピットマンという人が始めた会社なのですが、しばらく前にこの人は引退して会社を楽器会社のフェンダーに売ってしまいました。

Groove Tubesは主にJJ, ソブテックや中国製の真空管を自社レーベルで販売していましたが、中には自社専用のカスタム真空管を中国で生産していました。むかしあったムラード12AX7Mや、6L6や6CA7のGE復刻版を製造していました。 で、この復刻版の製造には実際にGEの真空管工場で使われていた機材を使用していて、ある意味正統派の復刻版だったのです。

この真空管製造用の機材が売りに出されているようです。内容はグリッドワインダーや真空吸引装置など、製造に必要な装置が一通りそろっており、ガラス管、ステム、ベースなどの部品も数千個あるようです。  これは1980年代に店じまいしたGEの工場から引き取った物のようで、機械自体は50−60年もののようです。

これだけあれば真空管製造できちゃいますが、実はこれは組み立てのみで、カソードやプレートボックスなどの部品が無いと真空管は製造できません。組み立て工場だけあっても自動車が生産できないのと同じです。 真空管用の部品は特殊ですからカタログから選んで発注どころか、カスタムでも製造してくれるところはそうそうありません。

グルーブ・チューブスが買収されたのはしばらく前の事なので、この機材は誰も引き取り手が付かなかったのだと思います。 現存の工場は既に機械がありますし、(おそらくですが)生産量や品種を増やしているリフレクター工場などではこういった機械もある程度製作できるので引き取り手が付かないのでしょうか。

でも、こうやって真空管製造の機械をみれるのは面白いですね。コンピューターなど使わない機械仕掛けで動く事をかんがえると大した物だと思います。

機械の写真はこちらで観れます。

2012年

明けましておめでとうございます。 皆様に幸多き一年でありますように。

南カリフォルニアはクリスマス前から雲一つない快晴で暖かい毎日が続いています。

でも南国でもやはり冬。 冬はやっぱり真空管アンプで音楽を聴くのが一番です。 と言う事でKT88アンプでジェリー・マリガンのバリトーンサックスにひたりながら新年を迎えました。

アメリカは新年はあまり大きな祝日でなく、サンクスギビング、クリスマスと慌ただしいホリデーシーズンのオマケぐらいの扱いです。なので私たちも一月二日より普通に営業しております。

本年度もぜひよろしくお願いします。

価格改定のお知らせ

CIFTE ECC82の続きがちょっと空いてしまいましたが、ちょっと別な話題です。

取引先の商社からの知らせですが、現行品の真空管のうち、かなりの種類が今月中に価格改定になる模様です。 具体的にはSovtek, TungSol, Mullard, Genalex, Svetlana と Electro-Harmonixブランドの現行品が一割ほどの値上げになります。

えーっ、と思ってしまいますが、世界経済の状況や真空管生産国のインフレ率などを考えると、上記ブランドの真空管は比較的安定した価格で製造が続けられて来たと思います。ですので、今回の価格改定は通常(と言っては変ですが)、と考えて良いかと思います。

さて気になる当店の価格ですが、私どもは現在の在庫は値段据え置きで販売を続けます。 昔からのお客さんはご存知とおもいますが、私どもは仕入れ先が値上げしても現在庫は旧価格のまま販売し、新しい仕入れ値で入荷した際に価格を改定します。 ですから仕入れ先の値上げから私どもの価格改定にはちょっと間があく事になります。

よって商品によりますが、向こう1、2ヶ月は価格据え置きのまま販売となり、その後順次価格が改定になります。 ただ、回転が速い商品は早めに値段改定となってしまいます。 なので、ご注文はお早めにどうぞ。

Mazda CIFTE ECC82 (1)

昔フランスにRadiotechniqueというオランダフィリップス系の真空管製造会社があったのですが、それとは別にMazdaという会社も真空管を製造していました。

日本の自動車メーカーのマツダも海外では全く同じつづりのMazdaですが、もちろん無関係です。

Mazdaは1921に創立された電球会社で、電気部品や真空管も販売していたという以外にはあまり詳しい情報が英語で見つかりません。 実際に真空管製造もしていたようですが、他メーカー品のリブランド販売もしていたようです。真空管製造がすっかり終了してから1999年にフィリップスの傘下に入りますが、いまだにMazdaのブランドでビジネスをしています。

フランス語のWikiをたどって行くと、1938年のMazdaのカラーアニメ広告の動画がありました。70年以上も前の作品とは思えない出来でちょっとびっくりです。

フランスは1950年代から始まる冷戦時代に核シェルターにせっせと真空管などの軍需物資を運び込んで保管していたようで、ときおりそういった物資が放出されるのか、大量にフランス製の真空管が出回る事があります。

以前はMazda 6V6GTなどがあり、また最近取り扱っているMazda CIFTE ECC82もその例です。

1950〜1960年代製なのでアメリカ・ドイツ製ならプレミアがつくところですが、Mazdaというブランドにあまりなじみがないせいか、あまり高値がつきません。 作りは悪くはないのですが、不良率はとりたてて良いと言うほどでもありません。

このMazda CIFTE ECC82でいくつか面白い発見がありましたので、ちょっと次の雑記で書いてみようと思います。

Help! のEメール

もうすっかり9月ですね。 停電はすぐ復旧し、サンディエゴも涼しい日が増えてきました。

アメリカ国内のお客さんで、「緊急に今すぐ真空管が必要だ、助けて!」と言う方がいらっしゃいます。 Eメールの連絡だと、ビートルズの歌さながらに “Help!” というタイトルで来るのですぐわかります。

たいていはミュージシャンの方で、ツアー中に真空管の換えが必要になるケースです。アメリカの都市を幾つかまわるだけでもかなりの距離の移動になり、その間いろいろな不都合が起きてしまうようです。

ローディーや機材のリペアマンが同行するのはごくごく一部の大型ツアーだけなので、たいていはミュージシャン本人からの連絡です。せっぱ詰まって、次のステージに間に合うように送ってくれー!という悲壮なSOSのコールなのです。

金曜日は中西部のレコーディングスタジオからの大至急オーダーがありました。 機材に使う6922が月曜の昼の録音セッションまでにどうしても必要だとの事。 レコーディングスタジオは、場所と機材と人を提供して料金をもらう訳ですが、機材がまともに動いていないと料金がもらえないだけでなく、スタジオビジネスの評判にも関わってくるので、深刻です。

このスタジオから連絡があったのが金曜日の午後4時。エキスプレス発送の締め切りは午後5時。大至急で検品し、発送に持って行ってなんとか間に合いました。

こういった急ぎの注文は額も少ない事が多く、こちらから長距離電話をかけて確認したり、飛び入りが入った分さらに残業してもらったりと、コストがかさむので、利益はまずありません。

それでも急ぎのオーダーは受けて立つようにしています。これは私たちは真空管機材にこだわるミュージシャンの方々と同じスタンスだから、という理由です。

とは言っても、みなさんちゃんとスペアを持ってツアーしてくださればお互いこんなに焦らなくて済むのですが。