1990年代にSV811, SV572といったオーディオ出力用に開発された大出力3極管が製造されていました。 中でもSV572は最終進化形と言ってよい大出力3極管です。
SV572は最大定格がプレート耐圧1000V、プレート電流210mA, プレート損失125Wととんでもない値です。 一番使いやすい低ミュー版のSV572-3データシートによるとA2級シングル、Ep=900V、Ip=100mA の動作点で 歪み率1.0%時で40Wもの出力がとれるとなっています。
外観はトリタンのフィラメントが明るく、またゲッター材がガラス管でなくプレートに塗布してあるので普通の真空管とはだいぶ違った独特の雰囲気です。 ガラス管も細身で小ぶりです。
このガラス管はSV572がストレートな筒状、そしてSV811はコーク・ボトル形状です。 この違いは単純に商品として違いを出すためだったようで、SV811シリーズにもストレート・ボトルのものがあります。
SV572−3はもう製造されていませんが、商社に在庫がまだあります。 それほど大量に売れる真空管ではないのですが、私どもがSV572−3を販売している数少ない販売店と言う事もあり、世界中から注文がくるようになりました。
このSV572−3で面白い話があったのですが、それはまた次回で。