アンプで使うパワー管はたいていの場合選別して特性が近い物を選びます。でもこのマッチングって何よ、実際のところ必要なの、と聞かれる事があります。
パワー管は均衡に動作して欲しいので特性が近いものを選別します。 バランスが崩れているとクロスオーバー歪みが増えたり、トランスの磁気飽和によって低域がでなかったりします。 極端な場合、プッシュプルの一本だけに全部電流が流れてしまうと過熱してしまったりもします。 なのでプッシュプルにはマッチングペアは必要です。
ただ、どれぐらい近いペアが必要かと言えば測定器で微妙な差が測定できても、そこそこあっていれば音にそんなにはっきり違いが出るものではありません。
なので、当店で時には神経質なぐらい選別しているのは、これはもう自分たちの好みとこだわりでやっている所があります。
重くて熱くてなにかと不便な真空管アンプをわざわざ作ったり使ったりというのはそれなりの思い入れがあるからだと思いますが、そこに使う真空管にもやはりこだわりがあるものなのです。
さらに真空管は手作りで個体差が大きいものなので、ガラス管が傾いてたり高さが違ったりとばらつきがあります。 ある程度の違いはどうしようもないのですが、メーカーによってはばらつきが多きかったりします。
使うアンプの機種がわかっていると、電気特性はばっちりあってるんだけど、外見はもうちょっと近くないとダメだね、と選別するスタッフが試験機に並んだ真空管を前にため息ついてたりします。