Groove Tubesは真空管好きのアスペン・ピットマンという人が始めた会社なのですが、しばらく前にこの人は引退して会社を楽器会社のフェンダーに売ってしまいました。
Groove Tubesは主にJJ, ソブテックや中国製の真空管を自社レーベルで販売していましたが、中には自社専用のカスタム真空管を中国で生産していました。むかしあったムラード12AX7Mや、6L6や6CA7のGE復刻版を製造していました。 で、この復刻版の製造には実際にGEの真空管工場で使われていた機材を使用していて、ある意味正統派の復刻版だったのです。
この真空管製造用の機材が売りに出されているようです。内容はグリッドワインダーや真空吸引装置など、製造に必要な装置が一通りそろっており、ガラス管、ステム、ベースなどの部品も数千個あるようです。 これは1980年代に店じまいしたGEの工場から引き取った物のようで、機械自体は50−60年もののようです。
これだけあれば真空管製造できちゃいますが、実はこれは組み立てのみで、カソードやプレートボックスなどの部品が無いと真空管は製造できません。組み立て工場だけあっても自動車が生産できないのと同じです。 真空管用の部品は特殊ですからカタログから選んで発注どころか、カスタムでも製造してくれるところはそうそうありません。
グルーブ・チューブスが買収されたのはしばらく前の事なので、この機材は誰も引き取り手が付かなかったのだと思います。 現存の工場は既に機械がありますし、(おそらくですが)生産量や品種を増やしているリフレクター工場などではこういった機械もある程度製作できるので引き取り手が付かないのでしょうか。
でも、こうやって真空管製造の機械をみれるのは面白いですね。コンピューターなど使わない機械仕掛けで動く事をかんがえると大した物だと思います。