臨場感

ステレオアンプで、臨場感があると言いますね。

アメリカにMad Menという大ヒットTV番組があります。 50年前のアメリカの広告代理店を舞台にした番組で、日本でも放映されているようです。 この番組は設定の1960年代当時にとても忠実で、セットや小物にいたるまで徹底して再現している事で知られますが、それが強調されず自然なので違和感がありません。 そのため映像に臨場感があります。

ベンチシートの大きな自動車、手動タイプライター、スライドプロジェクターで写真を投影して鑑賞し、誰でもどこででも煙草をくゆらしてた、そういう時代ですね。 この時代は業務用の音響機器、映画館のPAや教会のオルガンは真空管式で、家電ではなく「家具」だった家庭用ステレオ、テレビ、ラジオセットも大多数が真空管でした。

そう考えるとなんでもプラスチックでできている現代とはかなりの違いですが、この番組にはそれを感じさせずその場に入れるような雰囲気があります。 当時のアメリカン・オーディオを代表するハーマン・カードン、マッキントッシュ、フィッシャー、EICOなどの往年の銘アンプを今鳴らして名盤を聴いてみると、50年前当時の人々が聴いて感じた世界がそこにあります。 録音そのものにも臨場感がありますが、さらにまるで50年前の世界にも臨んでいるようです。