グロー放電

冬だと思っていたらいつの間にかもう春ですね。 みなさんいかがお過ごしでしょうか。

お問い合わせで真空管のグロー放電とはどういうことかというのがありました。

真空管の内部は、当然の事ですが真空状態になっています。 この真空を作り出すためには真空状態にしてガラス管を封じるわけですが、この際に電極ごと高周波加熱し、発生ガスも排出しながらガラスを溶解し封入します。

この加熱をするのはなぜかと言うと、真空中では固体表面からもガスが発生する(アウトガス)ので、加熱してできるだけガスが枯れた状態にするためです。 真空をひきながら内部を超強力電子レンジで加熱し、さらにガラスを加熱して真空管を封印するというかなりおおがかりな工程なのです。

真空中でのアウトガス汚染は宇宙へ飛ばす望遠鏡などでは問題になるので、衛星の部品でも同じように真空中で加熱を行うそうです。

この工程がかなり大掛かりな上に、内部の電極のロウ付けのさいに高さに違いがあるので、真空管の高さにはばらつきがどうしてもあります。

ただ見かけはばらつきがあっても動作には問題が無いのですが、何らかの理由で真空度を確保できず封印してしまうと動作に問題がでてしまいます。

パワー管の場合、ある程度のガスが内部にあると電極間でグロー放電を起こしてしまいます。 グロー放電は写真のような紫色の発光で、電位差がある金属の周りからでます。 ひどいときはグロー放電だけで電流がどんどん流れるようになります。

こういうグロー放電が起きるような真空管はもちろん不良品ですが、幸い現行品で最初からこのような問題が起きることはまずありません。 なのでお手元に届く真空管にこの問題があることはありません。

実は手元に手ごろな不良品がないのでこの写真も封入ガスでわざとグロー放電を起こす仕組みの0A2を撮影したものなのです。